AmoriのAI実験室Amori’s AI Lab
資料・データ分析

ChatGPTで翻訳する 商品説明の訳抜けと誤訳を確認する

ChatGPTで商品説明を翻訳するときの確認手順。英訳の数字・単位・否定文・訳抜けを照合し、直訳すぎる文章を直すプロンプトと架空原文3本を掲載。

編集:AmoriのAI実験室公式資料と練習素材
原文と訳文を対応させる二つの吹き出し
記事のテーマを表したAI生成イラストです。

ChatGPTで商品説明や案内文を翻訳するときは、最初に「原文と1文ずつ対応させた忠実な下訳」を出させ、数値・否定表現・例外条件の抜け漏れを照合してから自然な表現へ整えます。まずは練習用の商品説明サンプルを使い、初回訳を作り、事実と表現を照合して、公開前の最終確認まで進めましょう。

  • 最初に試す手順と到達点:①読者・用途・変更禁止条件を指定して1文対応の初回訳を出す → ②数値・単位・否定文・括弧内の条件が落ちていないか検査表で照合する → ③事実を固定したまま「堅実な案A/読みやすい案B」の2案で自然さを整える → ④人間の目で最終確認する

この記事の検証範囲と練習素材について
本記事はOpenAI公式の Prompting ガイドにもとづく指示手順と、編集側で作成した練習素材(架空の商品説明3本および訳文・修正前後の対照サンプル)をまとめたガイドです。実機での反復翻訳テストおよび語学専門家・ネイティブスピーカーによる査読は未実施であり、本文中の訳例・修正例はすべて編集側のサンプル(ChatGPTの実測出力ではありません)です。

翻訳する文章と用途を決める

翻訳を始める前に「誰がどこで読む文章か」と「AIの下訳で進めてよい文書か」を切り分けます。ECサイトの商品ページ、取扱説明書の注意書き、取引先への仕様連絡では、必要な文体と確認水準が異なります。

読者・地域・文体を先に固定する

OpenAI公式の Prompting でも、目的・文脈・出力形式・変更しない条件を明示して反復修正する進め方が案内されています。原文を渡す前に次の4項目を指定します。

  • 対象言語と地域表記:アメリカ英語(US English)、イギリス英語(UK English)、日本語への和訳など、綴りや単位の基準。
  • 想定読者:一般の購入検討者、海外バイヤー、社内担当者など、専門知識の有無。
  • 掲載場所と文体:ECサイトの箇条書き、カタログの説明調、サポート窓口の丁寧な案内文など。
  • 変更禁止の要素:型番、寸法、重量、温度、価格、免責条件、否定表現(「〜しないでください」「〜を除く」)を省略・変更しない旨の指定。

プロンプトの目的や条件の整理手順は ChatGPTプロンプトの書き方 目的と条件を整理して回答を直す も参照してください。

専門的な判断が必要な文を分ける

次の文書はAIの出力をそのまま公開・送付せず、法務・医療・技術担当者や専門翻訳者による確認を前提に分けておきます。

  • 契約書、利用規約、保証規定、免責事項などの法的文書
  • 医薬品・化粧品・食品の効能表示やアレルギー表示など各国の法規制が関わる記述
  • 誤操作による怪我や発火を防ぐ安全警告文

また、未公開の新製品情報や社外秘の取引条件、個人情報はそのまま入力せず、固有名詞や数値をダミーに置き換えて作業してください。無料枠での利用条件や制限の確認方法は ChatGPTは無料でどこまで使える 制限の確認と有料版の選び方 で整理しています。

最初の訳を作る

最初のプロンプトでは、いきなり流暢な宣伝文を作らせず、**原文の意味と段落構造を維持した忠実な下訳(第1稿)**を出させます。最初から意訳させると、制限条件や数値が削られても気づきにくくなります。

原文の段落を維持し、不明な語を質問させるプロンプト

原文と訳文を1文ずつ並べて出力させ、文脈だけでは確定できない語を質問させるプロンプトです。英語から日本語へ訳す場合は、1行目を「日本語に翻訳してください」に変え、「です・ます調」などを指定します。

以下の【原文】を、指定した【翻訳条件】に従って英語(US English)に翻訳してください。

【翻訳条件】
1. 用途と読者:海外向けECサイトに掲載する商品説明。一般の消費者が読みやすい落ち着いた説明調にすること。
2. 構造の維持:原文の段落、見出し、箇条書きの順序と数を変えず、1文ごとに原文と訳文を並べて表示すること。
3. 情報の保持:数値、単位、型番、条件(「〜の場合のみ」「〜を除く」)、否定・禁止表現(「〜不可」「〜しないでください」)を一切省略・変更しないこと。原文にない効能や保証を勝手に追加しないこと。
4. 不明点の扱い:日本語の省略表現や多義語など、文脈だけでは意味が確定できない箇所がある場合は、推測で断定せず、訳文のあとに【確認したい点】として質問または複数案を列挙すること。

【出力形式】
- 原文1:
- 初回訳1:
(以下、文・項目ごとに繰り返す)
- 【確認したい点】:

【原文】
(ここに翻訳したい文章を貼り付ける)

練習用の架空原文3本(編集側サンプル)

数値・単位、否定・例外、直訳すると不自然になりやすい表現を含む練習用の商品説明3本です。

【サンプル1:真空断熱ステンレスボトル(型番:AML-480)】
・容量は480ml、本体重量は約210g(ポーチを含まない)です。
・6時間後の保冷効力は8℃以下、保温効力は68℃以上を維持します(室温20℃±2℃において測定)。
・フタとパッキンは食器洗い乾燥機に対応していますが、塗装剥がれを防ぐため本体は手洗いしてください。

【サンプル2:北米産ウォルナット材カッティングボード(型番:WCB-30)】
・天然木を使用しているため、木目や色合いには1点ずつ個体差があります。不良品ではありません。
・水へのつけ置き洗いや、食器洗い乾燥機・電子レンジ・オーブンの使用はできません。
・使用後は中性洗剤で洗ってすぐに水気を拭き取り、直射日光を避けて風通しのよい場所で乾燥させてください。

【サンプル3:撥水ライトトラベルポーチ(型番:LTP-02)】
・ちょっとした水濡れや汚れを拭き取りやすい撥水加工生地を採用しました(完全防水ではありません)。
・かさばる充電器やケーブル類がすっきり収まる3ポケット構造です。
・厚さ2.5cmまでのモバイルバッテリーに対応しますが、形状によっては収納できない場合があります。

原文と訳文を照合する

初回訳が出たら、表現を整える前に原文の事実関係が正確に訳文へ移っているかを照合します。

数字・単位・固有名詞の照合(商品説明の英訳と数字)

商品説明を英訳する際は、次の4項目を原文と突き合わせます。

  • 数値と桁数:480ml が 48ml になっていないか、2.5cm の小数点が抜けていないか。
  • 単位と温度表記:ml、g、cm、℃ が維持されているか。華氏(°F)やオンス(oz)・インチ(in)を併記する場合は、AIの換算値を電卓や換算表で人間が検算します。
  • 測定条件や範囲の記号:8℃以下(8°C or below) と 8℃未満(below 8°C)、68℃以上(68°C or above)、20℃±2℃、約210g(approx. 210 g) などの条件語が落ちていないか。
  • 括弧内の補足条件:「(ポーチを含まない)」「(完全防水ではありません)」などの括弧書きが文末まで残っているか。

否定・条件・例外の脱落を確認する(否定文の誤訳対策)

「Aは対応していますが、Bは手洗いしてください」「〜以外は使用できません」のように肯定と否定が同居する文では、否定の掛かり先がずれる誤訳が起きやすくなります。

サンプル1で「本体まで食洗機対応」と読める文になっていないか、サンプル2の「つけ置き洗いや、食器洗い乾燥機・電子レンジ・オーブンの使用はできません」で not / do not が4項目すべてに掛かっているかを点検します。ChatGPTに照合の補助をさせる場合は以下のプロンプトを使い、最終判定は必ず人間が原文と照らし合わせて行います。

先ほどの【原文】と【初回訳】を照合し、以下の項目に抜け漏れや意味のズレがないか検査表を作成してください。問題がない場合も、原文の該当箇所と訳文の該当箇所を抜き出して対応を示してください。

【検査項目】
1. 数値・単位・型番(数量、重さ、温度、時間、寸法、約・以上・以下などの範囲)
2. 否定・禁止表現(「〜ない」「〜不可」「〜しないでください」の掛かり先)
3. 条件・例外・免責(「〜の場合」「〜を除く」「〜とは限らない」などの留保)
4. 原文にない情報の追加(原文に書かれていない保証や誇張表現が混ざっていないか)

【出力形式】
| 分類 | 原文の表現 | 訳文の表現 | 判定(一致/要確認) | 確認メモ |

自然さを調整する

原文との事実照合を終えたら、直訳調で硬い箇所を用途に合う自然な表現へ整えます。「自然な言い換え」と「意味の変更」を混同させないよう条件を固定して依頼します。

直訳すぎる訳文の直し方と、意味が変わる言い換えの回避

サンプル3の「ちょっとした水濡れ」「すっきり収まる」のような表現は、直訳すると英語として不自然になりやすく、逆に意訳しすぎると completely waterproof(完全防水) や fits all cables(あらゆるケーブルが入る) のように事実以上の意味へ変わってしまいます。

直訳すぎる訳文を直すときは、**「数値・否定・条件は固定したまま、表現の硬さを用途に合わせる」**条件を付け、2案比較で出力させます。

意味の正確さが確認できた以下の【初回訳】について、海外向けECサイトの商品説明として自然な英語になるよう表現を整えてください。

【厳守するルール】
- 数値、単位、否定表現、例外条件(「完全防水ではない」「形状によっては収納できない場合がある」など)の意味を一切変えないこと。
- `best`、`perfect`、`guaranteed`、`100%` など、原文にない誇張表現を追加しないこと。
- 各文について「案A:原文の構造に近い堅実な表現」と「案B:ECサイト向けに読みやすく整えた表現」の2案を出し、変更した語句の理由を短く添えること。

【原文】
(原文を貼り付ける)

【初回訳】
(照合済みの初回訳を貼り付ける)

架空原文3本の対照サンプル(編集側作成の修正前後例)

以下は架空原文3本について「避けたいNG訳例」と「修正後の訳例」を整理した編集側の参考サンプルです(ChatGPTの実測出力や人間査読済みの確定訳ではありません)。

サンプル 確認箇所(原文) 避けたい訳例(編集側で作成したNG例) 問題の分類と理由 修正後の訳例(編集側サンプル)
サンプル1(ボトル) 容量は480ml、本体重量は約210g(ポーチを含まない)です。 Capacity is 480ml and weight is 210g. 訳抜け:約(approx.) と (ポーチを含まない) の条件が脱落している Capacity: 480 ml. Weight: approx. 210 g (excluding the pouch).
サンプル1(ボトル) フタとパッキンは食器洗い乾燥機に対応していますが、塗装剥がれを防ぐため本体は手洗いしてください。 The lid, gasket, and bottle are dishwasher-safe, and hand-washing prevents peeling paint. 誤訳(否定・条件の反転):手洗い限定の本体まで食洗機対応に含まれてしまっている The lid and gasket are dishwasher-safe, but please wash the main body by hand to prevent the paint from peeling.
サンプル2(ボード) 水へのつけ置き洗いや、食器洗い乾燥機・電子レンジ・オーブンの使用はできません。 Do not soak in water, and use a dishwasher, microwave, or oven. 誤訳(否定の掛かり先ミス):Do not が前半にしか掛からず、後半が「食洗機等を使ってください」と読める危険がある Do not soak in water, and do not use in a dishwasher, microwave, or oven.
サンプル3(ポーチ) ちょっとした水濡れや汚れを拭き取りやすい撥水加工生地を採用しました(完全防水ではありません)。 Made with a little wet and dirty easy-to-wipe water-repellent fabric. 不自然・訳抜け:「ちょっとした水濡れ」の直訳が不自然で、末尾の「(完全防水ではありません)」も抜けている Made with water-repellent fabric that makes it easy to wipe off light splashes and dirt (not completely waterproof).
サンプル3(ポーチ) かさばる充電器やケーブル類がすっきり収まる3ポケット構造です。 It has a 3-pocket structure where bulky chargers and cables fit cleanly. 直訳の不自然さ:fit cleanly は収納の表現として不自然。意味を変えずに neatly organize 等へ整える Features a three-pocket design to neatly organize bulky chargers and cables.

人による確認を入れる

AIの自己チェックや日本語への再翻訳(逆翻訳)だけでは公開品質を保証できないため、公開前に人間の目で最終確認を行います。

語学力のある検証者が確認すべきポイント

本記事のサンプルも人間の語学査読は未実施です。実務で公開・送付する前には、対象言語の運用力がある担当者が次の4点を確認してください。

  1. 原文との事実一致:数値、単位、仕様、対象外条件が1つも漏れていないか。
  2. 否定と例外の明確さ:禁止事項(Do not ...)や免責条件(except ... / not ...)が誤解なく伝わるか。
  3. 不自然な直訳と過度な意訳の排除:自然な言い回しに整えた結果、原文にない保証や誇大表現が混ざっていないか。
  4. 文体とトーンの一貫性:見出し・箇条書き・注意書きの語調が掲載媒体に合っているか。

最終版と修正理由を保存する

手直しを入れた箇所は「AIの下訳」「修正後の確定文」「直した理由(誤訳・訳抜け・文体調整)」の3点をセットで残しておくと、次回同じカテゴリの商品を翻訳する際にプロンプトの禁止条件へそのまま反映できます。

今回の到達点

次の3点が揃っていれば、商品説明の翻訳と照合は完了です。

  • 原文と1文ずつ対応した初回訳を作り、数値・単位・型番・括弧内の補足条件がすべて残っていることを確認した
  • 否定文・禁止表現・例外条件の掛かり先が反転していないことを検査表と人間の目で照合した
  • 事実関係を変えずに2案比較で文体を整え、手直し箇所と修正理由を記録した

よくある質問(FAQ)

ChatGPTの翻訳は正確?

商品説明や案内文の下訳に活用できますが、常に正確とは限りません。OpenAI公式の Prompting ガイドでも、出力を確認しながら指示を反復調整する進め方が案内されています。主語の省略や条件文がある箇所は、原文と訳文を1文ずつ直接照合してください。

自然にすると意味が変わらない?

「自然な英語にして」とだけ頼むと、数値の留保(「約」「〜まで」)が削られたり原文にない宣伝文句が足されたりすることがあります。先に忠実な初回訳で事実関係を固めたうえで、「数値・否定・例外条件は変更しない」という制約を添えて2案比較で出力させてください。

逆翻訳で確認すれば十分?

英文を再度ChatGPTで日本語へ戻す「逆翻訳」は、段落単位の大きな訳抜けを見つける手がかりにはなります。ただし、英語段階での微妙なニュアンスのズレや否定の曖昧さが、和訳時の文脈補完で「もっともらしい日本語」に修復されてしまい、誤訳が隠れることがあります。逆翻訳だけで済ませず、原文と外国語訳の直接照合と人による確認を行ってください。

出典・参考資料

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本文執筆:agy / 確認・編集:制作担当

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